転売とは、利益を得ることを目的とし、代金を支払って仕入れ、それを販売して利益を出すビジネスです。
転売ビジネスにおいては詐欺などの明確に違法な行為を除けば、注意すべき点は主に2点あり、チケットの不正転売と古物商許可に特に注意する必要があります。
チケットの不正転売に注意
営利目的で、人気のコンサートや舞台、スポーツイベントなどのチケットを、業者や個人が買い占め、オークションやチケット転売サイトなどで定価を大幅に上回る価格で高額転売する場合には、チケット不正転売禁止法により取り締まりの対象となるおそれがあります。
チケット不正転売禁止法により禁止される行為
チケット不正転売禁止法により禁止される行為
- 「特定興行入場券(チケット)」を「不正転売」すること
- 「特定興行入場券(チケット)」の「不正転売」を目的として、特定興行入場券を譲り受けること
上記の「不正転売」とは以下の3点を満たす行為をいいます。
- 興行主の同意を得ていない
- 反復継続の意思を持っている
- 興行主の販売価格を超える高額転売
※一度しか不正転売をしていない場合であっても、反復継続の意思があると認められると②も満たされ、処罰の対象となるおそれがあります。
上記の「特定興行入場券」とは以下を指します。
※「特定興行入場券」とは
不特定または多数の者に販売され、かつ、次の1から3のいずれにも該当する芸術・芸能やスポーツイベントなどのチケットを言います。※日本国内において行われるものに限る。政府広報オンラインhttps://www.gov-online.go.jp/useful/article/201904/1.html#secondSection
- 販売に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、その旨が券面(電子チケットは映像面)に記載されていること。
- 興行の日時・場所、座席(または入場資格者)が指定されたものであること。
- 例えば、座席が指定されている場合、購入者の氏名と連絡先(電話番号やメールアドレス等)を確認する措置が講じられており、その旨が券面に記載されていること。※座席が指定されていない立見のコンサートなどの場合、購入者ではなく、入場資格者の氏名と連絡先(電話番号やメールアドレス等)を確認する措置が講じられており、その旨が券面に記載されていること。
このほか、公共の場所等でチケットの高額転売は行う行為は都道府県によっては迷惑防止条例等によっても取り締まりの対象となる恐れがあります。チケット転売をビジネスにする場合には注意をしましょう。
古物商許可が必要なケースに注意
転売を行っている場合「古物商許可」が必要な場合があります。
例えば、以下のような転売の事例が代表例です。
いずれも営利目的で反復継続して古物を取引する意思があることが前提です。
- フリマアプリで仕入れて転売する場合
フリマで中古品を安く仕入れ、他のフリマやネットショップで販売するなど。例え、新品未使用を仕入れた場合でも、一度誰かの所有物となった時点で「古物」に該当しますので、原則フリマアプリで仕入れる場合は許可が必要です。
- リサイクルショップで購入した品をネットで転売する場合
リサイクルショップなどの業者が一度消費者から買い取った商品は「古物」に該当します。これを仕入れて、販売する場合も許可が必要です。
- 「せどり」を行う場合
上記と同様ですが、ブックオフやゲオなどで仕入れた本などを転売する「せどり」にも許可が必要です。基本的に商品のジャンルは問わないと考えて構いませんが、消費して無くなる食料品やお酒などは「古物」には該当しません。
※例えばお酒の転売には「酒類販売業免許」が必要になるなど、「古物」に該当しなくとも、他の許認可が必要になるケースもあります。詳細は行政書士にご相談ください。
- 中古機械を修正して転売
リサイクルショップやフリマアプリで中古品を安く仕入れて「修理」して再販売する場合も、許可が必要です。
その他
転売以外にも、例えば以下のようなビジネスにも古物商許可が必要となりますので注意しておきましょう。
- 古物を買い取って修理・改造して売る
- 古物を買い取って部品を売る
- 古物を交換する(例:中古車のレンタカー、中古品のリース)
- 知人の古物を代理出品し、売れたら手数料を貰う
- 友達から有償で物を譲り受け、他人に販売する
古物商許可が不要な場合
転売目的と認められない場合には、古物を購入してそれを売る行為には古物商許可は必要ありません。
例えば、「自分で使用していた物を売る」場合や、「自分が使用する目的で購入した物でいらなくなったから売る」場合です。この場合には古物商の許可は必要ありません。自分で遊ぶために買ったゲームやカードなどをネットオークションで売るのに古物商許可が必要となれば大変ですから古物商許可は不要となっています。
無償でもらったものを売る場合でも古物商許可は必要?
親や友人から無償でもらったものを売る場合には、古物商許可は不要です。
無償でもらったものの他、逆に手数料を貰って引き取ってきたものを売る行為も古物商に該当しません。
古物営業法は、盗品の売買の防止、盗品の速やかな発見を図る目的で作られた法律です。窃盗者が盗品を無償で譲り渡すことは通常では考えにくいため、古物商許可は不要とされます。
ゲームセンターで手に入れた景品を転売する場合
自分でクレーンゲームを利用して手に入れた景品をヤフオクやメルカリで販売する場合も古物商許可は必要ありません。ただし、フリマアプリなどを利用して市場に出回っている景品を仕入れて、販売する場合には古物商許可が必要となります。
遺品整理で引き取ったものの販売
遺品整理で発生した不用品を遺族から譲り受け、これを販売するケースです。これも逆に手数料を受け取って不要品を回収していることから通常は許可不要です。ただし、有償で買い取る場合は古物商許可は必要です。
古物商許可のことなら当事務所にお任せください
古物商許可が必要かどうかの判断は、扱う商品や取引の形態によって異なり、非常に分かりづらいのが実情です。
しかし、古物商許可が必要な取引を無許可で行ってしまった場合には、古物営業法違反となり、3年以下の懲役または100万円以下の罰金といった厳しい罰則が科されるおそれがあります。
当事務所では、許可の要否判断から申請手続きまで一貫してサポートしております。
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