古物商許可申請の際、申請者や管理者等について直近5年の略歴を記載した略歴書の添付が必要となります。
略歴書の書き方及び注意点を以下で解説していきます。
略歴書とは
古物商許可の申請をする際には、古物営業法施行規則により最近五年間の略歴を記載した書面を添付する必要があります。
略歴書には、氏名や住所、作成日から最近5年間の経歴を記載する必要があります。経歴には空白期間がないように記載しなければならず、無職期間やアルバイト期間も漏れなく記載しなければなりません。
この略歴書を提出する目的は、古物営業法第4条に掲げる古物商の欠格事由に該当するか否かを確認するために必要となる書面となります。古物営業法の欠格事由に該当していると申請者の経歴がたとえ立派であろうとも、古物商許可申請は不許可となります。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮刑・懲役刑に処せられ、又は無許可古物営業や不正手段による許可取得、名義貸し、営業停止中の営業、窃盗、背任、遺失物横領、盗品運搬等で罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為等に関する法律の規定により公安委員会から命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
- 住居の定まらない者
- 古物営業法第24条第1項(営業の停止)の規定によりその古物営業の許可を取り消されてから5年を経過しない者
- 心身の故障により古物営業を適正に実施することができない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(一定の場合を除く)
略歴書が必要になる人
個人申請の場合には、申請者及び管理者の略歴書を添付する必要があります。申請者が管理者を兼任する場合には、略歴書は一枚で足ります。
法人の場合には、役員全員及び管理者の略歴書の添付が必要となります。
いずれも雇用する従業員(アルバイトやパート、正社員)の略歴書は不要です。
略歴書のフォーマット
略歴書は、都道府県ごとにフォーマットが異なることがあります。一部の地域では直近5年間の経歴のほかにも住所の変動を記載する箇所があったり、役職や業務内容についてまで記載しなければならない場合があります。
このように都道府県ごとにフォーマットが若干異なるため、原則、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会が用意するフォーマットで略歴書を作成するようにしましょう。
東京都公安委員会に係る略歴書は以下でダウンロード可能です。
記載の注意ポイント
略歴書は、上から古い順に記入していきます。
年は和暦又は西暦のどちらで記入しても問題ありませんが、どちらか一方で統一します。
空白期間がないように記入する
略歴書は空白期間がないように記載しなければなりません。
正社員の期間だけでなく、無職期間、アルバイト、派遣、自営業の期間も省略をせずに漏れなく記載する必要があります。たとえ、短期間の経歴であってもなるべく記載するようにしましょう。
略歴書に無職期間を記載する場合には、「就職活動」「転職活動」「家事手伝い」などその理由まで書くと審査がスムーズです。
5年以上遡って記載する必要がある
略歴書は申請日から遡って5年間の経歴を書きます。
ただし、略歴書には、入社、退社、入学、卒業などの経歴の開始と終了の起点をベースに記載する必要があるため、実際には5年以上遡って記載することになります。
したがって、例えば、申請日から5年前にさかのぼった時点が㈱〇〇商事に在職中であったならば、下記記載例のようにその「入社」から経歴を記載します。
同じように、例えば、申請日から5年前にさかのぼった時点が大学に在学中だった場合には、その大学の「入学」から略歴書に記載する必要があります。この場合、学部まで記載します。
また、申請日から5年前にさかのぼった時点が無職期間の途中だった場合には、その無職期間が「始まった時」から記載します。
このように、「直近5年間の経歴」とは言いながらも、実際には5年以上前の経歴から記載しなければなりません。
略歴の最後は「現在に至る」とする
最新の経歴まで書き終えたら経歴内容の最後の欄には「現在に至る」と書きます。
賞罰があれば記載
地域によっては賞罰の記載まで求められる場合があります。この場合、過去5年間に、懲役・禁錮・罰金等の刑罰を受けた場合にはその内容も記載します。賞罰がない場合は「なし」と記入します。
申請の窓口は警察署なので、犯罪歴がある場合は記載しなくても発覚することになります。
作成年月日、氏名、住所を記載する
略歴書に記載する氏名や住所は住民票通りに記入し、略歴書を作成した日付は申請日から3か月以内に収まるように記入しましょう。
また、略歴書を作成した日付は和暦でも西暦でもどちらで記入しても問題ありませんが、都道府県によって取り扱いは異なることがあるため和暦で記載することをおすすめします。もし、和暦で作成日を記載した場合には、経歴部分も和暦で統一しましょう。
職歴が多くて書ききれない場合
略歴書に書ききれないほど経歴がある場合には、管轄する警察署に相談することをおすすめします。
多くの場合、2枚目に記入する方法や別紙を添付する方法を指示されることも多いので、最初からそのようにしても問題はありません。
虚偽記載をすると罰則がある
許可申請書又は添付書類に虚偽の記載をして提出した者は、古物営業法第34条第1項により二十万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、申請が通った後に虚偽記載が発覚した場合には、偽りその他不正の手段により許可を受けた者として古物営業法第31条第2項により三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられ、古物商許可を取り消される可能性があります。
このような形で許可を取り消されると古物商の欠格事由に該当することになり、その後五年間は再度の許可取得ができなくなります。
略歴書は欠格事由に該当するかを確認するための書類のため、どのような経歴でも審査上は問題ありませんので正直に記載していきましょう。
管理者の経歴に注意
自動車、自動二輪車又は原動機付自転車を取り扱う場合、その管理者の経歴にはやや注意が必要です。
管理者に自動車業界や中古車業界での経験があるかどうか、盗品などを見分けるための知識があるかどうかについて申請の際に警察署で質問されることがあります。
未経験者を管理者に選任したからといって申請に落ちるわけではありませんが、このような理由から管理者にはなるべく適任者を選任することが好ましいと言えます。
ただ、古物商等は、古物営業法第13条第3項及び古物営業法施行規則第14条により、管理者に、不正品等を見分けるために必要とされる知識、技術または経験を得させるよう努力義務が課されているため、未経験者を管理者に選任する場合であってもその後の講習等で経験不足を補わせることが可能です。