開業届を出さないで古物商許可を取れるか?

古物商許可が必要となった際に、開業届を出す必要もあるかどうかを気になるかと思います。特に副業として古物商を始める際にはこのように疑問を持たれる方が多いようです。

古物商許可の取得に加えて、開業届を提出する必要があるかどうかについて解説していきます。

目次

開業届を出さなくても古物商許可は取れる

古物商許可と開業届は、それぞれ異なる目的と基準で必要となる手続きです。古物商許可を申請するからといって、必ずしも開業届の提出が必要になるわけではありません

開業届の提出は、古物商許可を取得するための要件には含まれているわけではないため、開業届を提出していようがいまいが、古物商許可を取得することができます。

また、古物商許可は開業届の有無はもちろん、申請者が個人事業主や法人である必要もなく、会社員の副業であっても審査上問題はありません。

ただし、開業届や青色申告承認申請書を提出することで税務上のメリットを得られるため、古物商として本格的に事業を行っていく上では開業届等の提出も併せて検討することがおすすめです。

開業届が必要になる場合

開業届は、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転したときに税務署に提出する書類です。

開業届が必要になる「事業」は資産の譲渡等で対価を得て、それが独立・継続・反復して行われるものとされています。

本格的に個人事業主として古物営業をを行っていく上では、開業届の提出は当然した方が良いと考えられますが、副業の場合には提出すべきかどうかについて判断に迷うと思います。

実際、副業の場合、具体的にどのくらいの事業規模から開業届の提出が必要かについては明確な基準は存在しません。

ただ、一般的には、副業の所得が20万円を超えると確定申告が必要となるため、この金額が副業の開業届提出の目安とされています。したがって、サラリーマンのかたわら副業で古物営業を行う場合には所得20万円を超える場合が開業届の提出目安となります。

開業届の提出時期

事業の開始等の事実があった日から1月以内とされます。

ただし、この提出期限に遅れても罰則はなく税務署もほとんど問題視しないことから、実際には開業届を提出期限に遅れて提出するケースもよく見られます。税務署は確定申告で事業の実態が分かることから、基本的に開業届を提出しないことによる罰則はありません。

開業届を提出するメリット

開業届の控えの活用

「屋号付きの銀行口座を開設したい場合」「創業融資を受けたい場合」など、開業届の控えが審査時の確認書類として必要となることがあります。また、一部のネットサイトで事業者として登録を行う場合にも、開業届の控えを確認書類として求められることがあります。本格的に個人事業主として活動したい場合には開業届の控えを取得すると様々な手続き上でスムーズとなります。

税務上のメリット

開業届を提出する際は、一般的には同時に「所得税の青色申告承認申請書」も提出する方が多いです。

開業届に加え、この青色申告承認申請書を提出することで、確定申告の際に最大65万円の青色申告特別控除や損失の繰越ができるなどの節税メリットを享受できます。一方、青色申告は複式簿記で記帳された帳簿・決算書類が必要となることから、経理作業が負担となる点がデメリットとしてあげられます。

青色申告承認申請書の提出期限

青色申告承認申請書の提出期限は、1月15日までなら同年の3月15日、1月16日以降なら事業開始から2カ月以内です。開業届よりも提出期限にゆとりがありますが、一般的には開業届と同時に提出する方が効率的となります。

なお、副業の場合には、一般的には所得区分は雑所得になります。これが事業所得と認められる場合には、経費の幅が広がる等の理由から雑所得よりも節税効果が高まります。ただし、開業届を出せば確実に事業所得になるわけではなく、事業規模や事業に費やされた時間、独立・反復・継続性の観点から総合的に税務署が判断して、認められると事業所得となります。

古物商許可申請と開業届どちらもする場合の提出順序

古物商許可に加えて開業届も提出する場合には、その提出順序は古物商許可申請が先です。

古物商許可は申請から約40日前後で許可が下ります。この間、許可が下りるまで古物営業を開始できないことから、一般的には古物商許可を早めに申請した方がよいです。

一方、開業届は事業を開始した日から1か月以内での提出となり、比較的提出期限にゆとりがあるため、先に事業を開始して後から開業届を提出すれば足りることになります。また、開業届の提出が遅れても罰則はないため、特に提出を急いでる理由がなければ開業届の提出は後回しとなります。

しかし、「屋号口座を早めに開設したい」「創業融資を受けたい」といった特別の事情がある場合には、審査に向けて早めに開業届の控えを税務署から返却してもらう必要があります。この場合、開業届も早めに作成して提出できる状態にすることが望ましいです。

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