「軽微な建設工事」以外の内装仕上工事を請け負うには、その工事が公共工事か民間工事かを問わず必ず建設業許可を取得しなければなりません。
内装仕上工事業とは?
建設業許可の「内装仕上工事業」とは、「木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、畳、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事」を指します。
具体的には、以下の工事が内装仕上工事業の例として例示されています。
- インテリア工事
- 天井仕上工事
- 壁張り工事
- 内装間仕切り工事
- 床仕上工事
- たたみ工事
- ふすま工事
- 家具工事
- 防音工事
国交省のガイドラインを確認すると、さらに家具工事、防音工事、たたみ工事の詳細について、以下のように例示されています。
- 「家具工事」とは、建築物に家具を据付け又は家具の材料を現場にて加工若しくは組み立てて据付ける工事をいう。
- 「防音工事」とは、建築物における通常の防音工事であり、ホール等の構造的に音響効果を目的とするような工事は含まれない。
- 「たたみ工事」とは、採寸、割付け、たたみの製造・加工から敷きこみまでを一貫して請け負う工事をいう。
工事業種は個別具体的に例示されていない場合も多く、地域によって行政庁の判断が異なる場合があります。今後どのような工事を請けていきたいのかを検討した上で、適切な判断が必要です。
一件の請負代金が500万円未満であれば建設業許可は不要
建設業においては、1件の請負代金が500万円未満の工事は「軽微な建設工事」とされ、この範囲であれば建設業許可は原則不要です。
ただし、この500万円は消費税や材料費を含めた金額ですので、結果的に500万円以上の工事となるケースが見受けられます。特に、材料費は注文者が材料を提供する場合であっても、市場価格や運送費を算出し、これらを加えた額で計算を行います。
一般的に、内装仕上工事業における材料費は、工事全体の費用の中で大きな割合を占めることがありますので、建設業許可が必要となることがよく見受けられます。
内装仕上工事業で建設業許可を取るポイント
内装仕上工事業に限らず、建設業許可を取得する際の大きなハードルは「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の要件です。適切な証明書類を用意しなければならないことから大きなハードルとなっています。
経営業務の管理責任者
内装仕上工事業で建設業許可を取得する際にも、「経営業務の管理責任者」を選任する必要があります。
この要件はいくつかありますが、基本的に 5年以上の建設業の経営経験を証明することで要件を満たすケース がよく見受けられます。
法人の場合は 役員、個人事業主の場合は 本人又は支配人 のうち1名を選任し、要件を満たしていることを証明する必要があります。
要件 | 許可の有無 | 証明方法 |
---|---|---|
建設業を営む会社で5年以上の役員経験がある | 建設業許可あり | ・建設業許可通知書のコピー ・履歴事項全部証明書 |
建設業許可なし | ・「工事請負契約書」「注文書」「請求書」など ・ 「履歴事項全部証明書」 | |
個人事業主として5年以上建設業を営んでいる | – | ・「工事請負契約書」「注文書」「請求書」など ・5年以上の「確定申告書(原本)」 |
複数の法人や役員経験や個人事業主の経験を合算して証明することも可能です。ただし、この場合、証明書類の準備には時間を要する場合があるため、事前に必要な書類を確認し、早めに手続きを進める必要があります。
経営業務の管理責任者には「常勤性」が求められます。
そのため、他社に常勤している方や、営業所から著しく離れた地域に居住しており、社会通念上、通勤が困難とされる方は、常勤性を満たさないものとして原則認められません。
また、以下のような場合も、常勤性に疑義が生じるため注意が必要です
- 他に個人事業を営んでいる場合
- 他社で代表取締役や常勤役員に就任している場合
- 他社にて管理建築士や宅地建物取引士など、他法令上も「専任性」が求められる資格職と兼務している場合
専任技術者
建設業の許可を取得するためには、営業所ごとに専任技術者を1人以上配置することが義務付けられています。
専任技術者は「常勤している」必要があるため、自社の人間であることが求められます。そして、他の法令で専任性が求められる管理建築士や宅地建物取引士などと兼務することは基本的にはできません。
また、基準を満たせば、「専任技術者」と「常勤役員等(経営業務の管理責任者)」を1人で兼任することも可能です。
専任技術者の要件は以下のいずれか3パターンによって要件を満たしていきます。
- 一定の国家資格を有している
- 取りたい許可の実務経験が10年以上ある
- 指定の学科卒+実務経験がある
1.一定の国家資格を有している:内装仕上工事業
内装仕上工事業の場合、下記資格の合格証明書や免許証等の写しによって、要件を満たすことができます。証明が一番簡単であることから、資格によって専任技術者の要件を満たすケースが多く見受けられます。
- 一級建築施工管理技士
- 一級建築施工管理技士補(+三年の実務経験)
- 二級建築施工管理技士(「仕上げ」)
- 二級建築施工管理技士(「建築」「躯体」+五年の実務経験)
- 二級建築施工管理技士補(五年の実務経験)
- 一級建築士
- 二級建築士
- 職業能力開発促進法の一級畳製作・内装仕上げ施工・表装
- 職業能力開発促進法の二級畳製作・内装仕上げ施工・表装(三年の実務経験)
- 登録内装仕上工事基幹技能者
2.内装仕上工事業の実務経験10年以上
内装仕上工事業において10年以上の実務経験がある場合も、専任技術者として認められます。
ただし、この場合、過去10年以上にわたる内装仕上工事業に関する実務経験を証明するため、多数の書類を用意する必要があるため、要件を満たすハードルが高くなる傾向があります。
3.指定の学科卒+実務経験がある
指定の学科を卒業し、実務経験を積むことでも専任技術者の要件を満たすことが可能です。
内装仕上工事業の場合、以下の学科が指定学科となります。
内装仕上工事業の指定学科:建築学、都市工学
内装仕上工事業の場合、建築学又は都市工学に関する学科を卒業していれば、必要な実務経験年数は短縮されます。具体的には、大学・高専・短大は3年以上、高校や専門学校は5年以上(ただし専門士・高度専門士なら3年以上)、それ以外は10年以上の実務経験が必要です。
学歴 | 実務経験 |
---|---|
大学・高専・短大の指定学科 | 3年以上 |
高校・中等教育学校(中高一貫校)の指定学科 | 5年以上 |
専修学校(専門学校)の指定学科 | 5年以上 ※専門士、高度専門士であれば3年以上 |
上記以外 | 10年以上 |
財産要件や欠格要件も確認
以上で紹介した要件の他にも、様々な細かい要件が定められています。
内装仕上工事業で一般建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者や専任技術者の条件に加えて、財産要件(自己資本や預金残高など)や、欠格要件(過去の法令違反など)にも注意する必要があります。
それぞれの要件について、詳しくは以下のページをご参照ください。
まとめ
内装仕上工事業で一般建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者や専任技術者の要件を満たすことが前提となります。加えて、財産要件や欠格要件、社会保険の適切な加入、営業所の要件など記載しきれないほどの細かな要件が定められています。申請をスムーズに進めるためには、各要件を正確に理解し、準備を進めることが大切です。
「申請に時間をかけられない」「手続きに不安がある」 という方は、行政書士に依頼することでスムーズかつ確実に許可を取得できます。当事務所では、書類作成から申請代行、アフターフォローまで、建設業許可取得をフルサポート しております。
証紙代等 | 基本料金(税込み) | |
---|---|---|
一般建設業許可(個人・知事) | 90,000円 | 99,000円~ |
一般建設業許可(法人・知事) | 90,000円 | 110,000円~ |
証紙代等 | 基本料金(税込み) | |
---|---|---|
一般建設業許可(個人・大臣) | 90,000円 | 190,000円~ |
一般建設業許可(法人・大臣) | 90,000円 | 190,000円~ |
※役員数、経管・専技の証明方法、営業所の数など、難易度によって基本料金に加算額が生じます。
※登記簿謄本、身分証明書等の実費分が発生いたします。
お見積り、ご相談は以下からお気軽にお問い合わせください。