建設業許可の「営業所」とは?定義・要件

建設業許可の申請では、「営業所」としての要件を満たしているかが重要なポイントの一つとなります。

この記事では、建設業許可における営業所の定義や要件などについて、東京都の基準をもとに解説します。

目次

建設業許可の営業所とは?

建設業における「営業所」とは、請負契約の締結に係る実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所を言います。

したがって、請負契約の締結に係る実体的な行為を行わない単なる登記上の本店に過ぎないもの、請求や入金等の事務作業のみを行う事務連絡所、工事現場事務所や作業所等は営業所には該当しません

以下は「営業所」に該当しません
  • 建設業と無関係な支店
  • 請求や入金等の事務作業のみを行う事務所
  • 事務連絡所
  • 工事作業員の詰める工事現場事務所や作業所等

    ※他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば、「営業所」に該当します。

建設業許可の営業所の要件

建設業における「営業所」の要件は、地域によって多少の違いがありますが、東京都での申請の場合には下記の要件を備えていることが必要です。

  • 外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
  • 電話・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されていること
  • 常勤役員等(経営業務の管理責任者)又は令3条の使用人が常勤していること
  • 専任技術者が常勤していること
  • 営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること)。住居専用契約は、原則として認められません。
  • 看板、標識等で、外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること

公営住宅(都営住宅、UR賃貸住宅等)については、居住用ですので、原則、営業所としての利用が認められません。

また、個人の住宅を営業所にする場合、居住部分との独立性が保たれていることが必要です。

したがって、例えば、居住部分の部屋を通らないと営業所スペースに到達できない間取りでは独立性に問題があります。一方、玄関から廊下を通り、そのまま営業所とする部屋まで直接到達できる間取りであれば独立性を満たすことが可能です。

営業所として証明方法

営業所として証明するためには、賃貸借契約書の写しや登記事項証明書など使用権限が分かる書類の提出が必要です。

これに加えて、一般的には営業所の写真の提出も必要となります。 建物の全景等、 事務所の入口、事務所の内部、一定の場合には 間取り図や入口から事務所までの動線部分の写真なども必要になります。

地域によって必要な資料は異なりますので、申請先の行政庁のHP等を確認することをおすすめします。

営業所への実地調査について

基本的には現地確認を受けることはありませんが、営業所の実態が申請書上で把握できない場合や、申請書の受付後に営業所の要件を満たしているか否かが不明な場合などには営業所調査を受ける場合があります。

また、申請後に行政庁から許可通知書が主たる営業所に送付されますが、これは営業所の所在確認のため「転送不要」とされています。万が一許可通知書が届かない場合は、営業所調査が行われる場合があるとされます。

営業所での契約について

建設業許可を受けた営業所で締結した契約に基づく工事は、その営業所が所在する都道府県以外でも施工が可能です。たとえば、東京都の営業所で契約を結んだ場合でも、他県で工事を行うことに問題はありません。

一方で、軽微な建設工事(請負金額が500万円未満の工事など)については、契約をどこで行うかによって注意が必要です。

その業種に関する建設業許可を持っていない場合は、他の都道府県にある営業所や支店で契約することが可能です。
しかし、すでにその業種の許可を持っている場合には、軽微な工事であっても、他の都道府県にある営業所等で契約を行うには国土交通大臣許可が必要になります。

まとめ

営業所の要件や確認書類については、申請先の都道府県ごとに運用や判断が異なる場合があります。
そのため、申請前には必ず管轄の行政庁に確認を取ることをおすすめします。

当事務所では、建設業許可の申請に関する書類作成および手続きの代行サービスを提供しております。
営業所の要件や必要書類の準備にご不安がある場合も、ぜひお気軽にご相談ください。
初回のご相談は無料で承っております。

  • URLをコピーしました!
目次