500万円が必要?一般建設業許可を取るための財産要件を解説

建設工事を着手するには、資材購入や労働者確保、機械器具の購入など、まとまった準備資金が必要です。また、営業活動を安定的に行うためにも、一定以上の資金力を確保しておくことが求められます。

そのため、建設業の許可を取得するためには、十分な財産的基礎または金銭的信用を有していることが法律で定められています。

建設業法における規定

(法第7条第4号)
請負契約(軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。

(法第15 条第3号)
発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること。

目次

一般建設業許可の財産要件を満たすための3つのパターン

  1. 自己資本の額が500万円以上あること
  2. 500万円以上の資金調達能力があること
  3. 直前5年間、東京都知事許可を受け継続して営業した実績があること

一般建設業の新規申請の場合、①又は②により財産的基礎の要件を満たすことを目指していきます。

なお、③については、更新の際に必要な要件です。更新の際には改めて500万円の財産要件の確認を受けることはないので、5年間の継続した営業実績により、財産要件を満たしていると見做されます。

①自己資本の額が500万円以上あること

法人の場合

法人の場合、「自己資本の額が500万円以上あること」は、申請直前の貸借対照表を見ることで確認することができます。

貸借対照表を確認し、右下の純資産部の「純資産合計」が500万円以上であることが必要です。500万円以上であれば問題ありません。

もし、開業したばかりで決算を経過していない場合は、開始貸借対照表を作成し純資産合計500万円以上であればこれを満たせます。

ポイント

もしこれらで確認した金額が500万円未満である場合には、預金の残高証明書や融資証明書で証明する必要があります。

個人事業主の場合

個人事業主の場合の「自己資本の額が500万円以上あること」は申請日直前の貸借対照表で確認できます。

期首資本金・事業主借勘定・事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金・準備金の額を加えた額が500万円以上である必要があります。

貸借対照表での確認方法

(期首資本金 + 事業主借勘定 + 事業主利益 − 事業主貸勘定)+(負債の部に計上されている利益留保性の引当金・準備金)=500万円以上

もしこれらで確認した金額が500万円未満である場合には、預金の残高証明書や融資証明書で500万円以上を証明する必要があります。

②500万円以上の資金調達能力があること

「500万円以上の資金調達能力があること」は、銀行口座に500万円以上あることを証明すれば足ります。

この証明方法は、主に、取引先金融機関で残高証明書を発行してもらい口座に500万円以上を有していることを証明します。

なお、都道府県によっては、複数の金融機関の口座であっても残高証明書を同一日付で取得し、合算して500万円以上であれば認められる場合もあります。

残高証明書は証明日時点の残高を証明するものです。証明した日以降に出金等をして500万円未満になったとしても問題ありませんので、短期的にお金を借りるなどして資金を調達しても問題ありません。

残高証明書の発行は、金融機関によって一定の日数がかかることもありますので、早めに発行手続きを行いましょう。

注意点

残高証明書は有効期限があります。東京都の場合、証明日(発行日ではありません)が残高証明書の申請受付日から1か月以内である必要があります(都道府県により異なります)。

例)「4月2日現在」(発行日4月3日)の残高証明書は、5月1日まで有効。

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